はじめに
注:本書はかつて、Understanding Uniform Type Identifiersという題名が付けられていました。
Mac OS Xのアプリケーション開発者が直面している試練の一つが、データの種類の識別方法の急増【拡散】です。
たとえば、テキストファイルのいくつかは、(本来はMac OS 9以前向けに設計されていた)'TEXT'ファイルタイプに割り当てられていることがあります。一方、他のファイルは単純に.txtのファイル名拡張子を持っていることでしょう。また、いくつかは代わりに.textの拡張子を持っているかもしれません。
加えて、ファイルの種類のいくつかは、他の種類の部分集合であることがあります。すべての.txtファイルを開くアプリケーションは、おそらく.htmlの拡張子を持つものも開くことができる必要があるでしょう。
あるアプリケーションが読むことのできる、すべてのファイルを判断することは不可能となりました。その結果、なぜ、あるアプリケーションはあるテキストファイルを開くことができるのに、別の【テキストファイル】は開けないのか、ユーザが理解することができないという、ユーザ体験への悪影響が生じています。
この問題を解決するために、アップルはuniform type identifier【UTI、定型型識別子】と呼ばれる、特別なデータ識別子のための構文を定義しました。
それぞれのUTIは特定のファイルのタイプ、データのタイプ、ディレクトリもしくはバンドルのタイプ、その他のための、ユニークな識別子を提供します。
加えて、特定のタイプのための、他のタイプ識別子の名前空間【OSタイプや拡張子】を、あるフォーマットから別のフォーマットへ変換するために利用できるユーティリティ関数を用いることで、一つのUTIの下にグループ化することができます。
誰が本書を読むべきか
本書は、他のアプリケーションやサーバとやり取りされることのあるデータを作成する、もしくはその他の操作を加える必要のある、すべてのMac OS Xアプリケーションの開発者に向けたものです。
たとえば、よくアプリケーションが扱うデータのタイプを認識する必要に迫られるのは、以下のようなときです…
- ファイル、バンドル、フォルダを表示する、もしくは操作する。
- ストリーミングデータにアクセスする。
- 書類やアプリケーション間でコピーやペーストを行う。
- アプリケーション間でドラッグアンドドロップする。
- Translation Managerを用いて、データやファイルの内容を変換する。
uniform type identifierへの対応は、Mac OS X v10.3以降で利用できます。
本書の構成
本書は以下の章で構成されています…
- 「Uniform Type Identifierの概念」(9ページ)は、UTIの構文と使い方を説明しています。
- 「Uniform Type Identifierに適応する」(17ページ)は、あなたのアプリケーションでのUTIへの適応の仕方を説明しています。
- 「システム定義のUniform Type Identifier」(21ページ)は、システムで定義されたUTIを一覧にしています。