はじめに


ファイルシステムは、いかなるオペレーティングシステムにおいても大切な部分です。なんといっても、ユーザが彼らのものを保存しておく場所なのですから。

Mac OS Xにおいて、ファイルシステムの構成は、ユーザがファイルを見つける手助けをする上で大切な役割を果たします。また、この構成はアプリケーション、およびシステム自体が、ユーザを補助するために必要とするリソースを見つけることを容易にもしています。

Mac OS Xにおけるファイルシステムは、その核にBerkeley Software Distribution (BSD)オペレーティングシステムから受け継いだディレクトリのセットを持っています。これらのディレクトリのほとんどがFinderによって実質隠されている一方で、BSD世界の多くの要素が見られます。ファイルのアクセス権【permissions】モデル、シンボリックリンク、そしてユーザのホームディレクトリといった概念は、いずれもBSDから継承されたものです。また、Mac OS Xはファイルとフォルダ管理のための、安全でエレガントな環境をユーザに提供するために、多数の独自の概念を加えています。

Mac OS Xのファイルシステムは、伝統的な使いやすさというユーザの期待を保ちつつ、パワーと柔軟性を提供すべく設計されました。その結果、ファイルシステムは、リソースがどこに配置されているかを明確にする、一貫した構造をユーザに提供しています。(この一貫性は、重要なリソースがどこに配置されているかを知る必要のあるアプリケーションの開発者にも役立っています。)エイリアス、拡張子の非表示、表示名といった、その他のファイルシステムの要素もまた、ユーザ体験を拡張します。

本書の構成

Mac OS Xのファイルシステムは以下の記事を含んでいます…

  • 「ファイルシステムのドメイン」(11ページ)は、Mac OS Xにおけるファイルシステムの高レベルの構成を説明しています。
  • 「Libraryディレクトリ」(17ページ)は、システム、およびユーザ環境を設定するために用いられる標準的なサブディレクトリを説明しています。
  • 「Developerディレクトリ」(21ページ)は、Xcode Toolsと共にインストールされる開発者特有のディレクトリを説明しています。
  • 「Classic環境のディレクトリ」(23ページ)は、Classic互換性環境のために作成される旧来のディレクトリを説明しています。
  • 「アプリケーションファイルの置き場」(25ページ)は、必須ではない設定ファイルや補助ファイルを、アプリケーションがどこに置くべきかのガイドラインを提供しています。
  • 「ファイルとFinder」(29ページ)は、ファイルシステムの管理におけるFinderの役割を説明しています。また、Finderがファイルとアプリケーションを関連付けるために用いるテクニックのいくつかも説明しています。
  • 「並べ替えの規則」(33ページ)は、Finderウインドウにおけるファイルとディレクトリの名前の順序の規則を説明しています。
  • 「ファイルシステムガイドライン」(35ページ)は、Mac OS Xのファイルシステムの機能に、最適な対応するための秘訣と助言を提供しています。
  • 「ファイル名拡張子」(39ページ)は、ファイル名拡張子に対するMac OS Xの対応について、そしてあなたのアプリケーションにおいて、これらに対してどのように対応するかについて、説明しています。
  • 「表示名」(43ページ)は、ファイルシステムにおけるファイル名と、ユーザが目にするファイル名との間の違いを説明しています。また、いつあなたのアプリケーションが表示名を使用するべきかについても説明しています。
  • 「BSDアクセス権と所有権」(47ページ)は、ファイルのアクセス権の背後にある原則と、Mac OS Xにおけるファイル管理に対するこれらの関わりについて説明しています。
  • 「アクセスコントロールリスト」(53ページ)は、アクセスコントロールリストと、BSDアクセス権を満たすためにこれらをどのように使用するかの概要を提供しています。
  • 「ファイルシステムの比較」(55ページ)は、HFS+とUFSボリュームフォーマットの間の機能の比較を提供しています。
  • 「エイリアスとシンボリックリンク」(57ページ)は、エイリアスとシンボリックリンクの間の違いを説明しています。