アップル ヒューマンインタフェースガイドライン


原文:Apple Computer Inc.
訳:かろでん☆みゅーあ

2006-06-28


はじめに


アップル ヒューマンインタフェースガイドライン序文



アップルは、強力なコアファウンデーション、そしてアクアと呼ばれる、目の離せないユーザインタフェースを結びつけた、世界で最も先進的なオペレーティングシステム、Mac OS X を手にしました。

進化した機能と、美的に洗練された色使い、そして透過処理、アニメーションによって、Mac OS Xは新規のユーザにはコンピュータ操作をより容易に、同時にプロフェッショナルユーザには彼らがMacintoshに期待する通りの生産性を提供します。

ユーザインタフェース、すなわちふるまいと外見は、よく練られた緊密なユーザ体験を、Mac OS X向けに開発された全てのアプリケーションに利用できるようにします。

これらのガイドラインは、アプリケーションやオペレーティングシステムの枠を超えて、Mac OS Xのユーザに一貫した視覚とふるまいという体験を提供する、あなたの製品開発を手伝うためにデザインされました。

このガイドラインに従うことはあなたの利点となるでしょう。なぜなら…

  • ユーザは、既に慣れ親しんでいるアプリケーションと同じような外見とふるまいであれば、あなたのアプリケーションを短期間に習得できるでしょう。
  • ユーザは作業をすばやく成し遂げることが出来ます。よくデザインされたアプリケーションは、ユーザの流儀を邪魔しないからです。
  • 特別な要求のあるユーザは、あなたの製品がアクセス性に優れてることを認めるでしょう。
  • あなたのアプリケーションは、他のMac OS Xアプリケーションと同様に、モダンでエレガントな外見を持つでしょう。
  • あなたのアプリケーションは、説明書の作成が容易となるでしょう。直感的なインタフェースと標準的なふるまいは、多くの説明を必要としないからです。
  • 顧客窓口は縮小するでしょう(上で述べた理由によります)。
  • あなたのアプリケーションは、各国語版の作成が容易となるでしょう。アップルはアクアのデザイン過程のなかで、多数の各国語版を通して作業を行ってきたからです。
  • メディアはあなたの製品を、より好意的に評価するでしょう。評論家は「真の」Macintoshアプリケーションの流儀に見えない、ふるまわないソフトフェアをまっさきに批判の的とします。
  • アップルのヒューマンインタフェース原則の実現は、Macintoshをあるべき姿にします。

    すなわち、直感的で、友好的で、エレガント、そしてパワフルであることです。

アップルヒューマンインタフェースガイドラインとは何か?

この書類は、第一にMac OS Xのためのインタフェース資料です。本書はMac OS Xバージョン10.4における、アクア準拠のデザイン作業について固有の詳細情報を提供しますが、Mac OS Xの過去のバージョンに対して適用できる情報もあります。

アクアとは、Mac OS Xの包括的な外見とふるまいのことです。アクアはウインドウ、メニュー、コントロール、といった特定のユーザインタフェースの構成要素に対して、アンチエイリアスされた外見の文字と画像、影、透過処理、注意深い色使いといった特徴を持つ標準的な外見を定義します。

アクアは標準化された、一貫性のあるふるまいをもたらし、アニメーション化された通知、視覚効果、その他を通して、状態が明確に伝わるコミュニケーションを促進します。

アクア準拠のデザインはあなたの顧客にユーザ体験の最高の可能性を提供することを保証します。

アクアは、Cocoa、Carbon、Javaのソフトウェアに対して利用可能です。

CocoaとCarbonのアプリケーション開発のためには、Interface Builderはアクア準拠のグラフィカルユーザインタフェースの製造を始めるために最良の手段です。

もしあなたが既存のMac OS 9アプリケーションをMac OS Xへ移植するのであれば、Carbon移植ドキュメントのCarbon Porting Guideを参照してください。

Java開発者はSwingツールキットを利用することができ、これはMac OS Xではアクアのルック&フィールを含んでいます。

だれが本書を読むべきか?

Mac OS X向けのアプリケーションを製造する、誰もが本書を読み、内容に慣れ親しんでおく必要があります。本書は優れたインタフェースデザインの仕組みについての情報と、基盤となるソフトウェアデザイン原則、そしてMac OS X技術の効果についての情報をまとめています。

本書の構成

本書は大きく3部に分かれ、各部はいくつかの章を含んでいます。

  • 第1部「アプリケーションデザインの基礎」(23ページ)は、アプリケーションをデザインしている間、心に留めておくべき基礎となるデザイン原則を説明します。
  • 第2部「Macntosh体験」(53ページ)は、ユーザが慣れ親しんでいるたくさんのMac OS Xの技術について論じます。あなたは開発工程を効率化し、アプリケーションがOSのあらゆる文脈において正しく動作することを保障するという、これらの技術の利点を活用することができます。
  • 第3部「アクア インタフェース」(87ページ)は、Mac OS Xアクアユーザインタフェースについて述べています。あなたが利用できる特定のユーザインタフェース構成要素について、そしてこれらをどのようにアプリケーションで実装するのかについての、広範なガイドラインを含む説明を行います。

補足の情報は以下の場所で提供されます。

本書における約束事

本書を通して、補足の情報を提供するために使用される一定の約束事は以下の通りです。

Carbon固有とCocoa固有の実装の詳細と、補足資料への参照は「Carbon:」または「Cocoa:」で始まる章番号で提供されます。もしCarbonやCocoaへの固有の参照が見当たらなければ、その情報はCarbonとCocoaの双方に適用されることを表します。

例として挙げられている図の中には、特別な実装が適切かどうかを注記するための、視覚的な目印を含むものがあります。

  • (チェックマーク)
    インタフェース要素を使用する正しい方法の例を示しています。
  • (一時停止マーク)
    インタフェース要素を使用する誤った方法の例を示しています。このシンボルを伴う例は、よくある誤りを図示しています。

太字は新しく定義された用語を表しており、その単語の定義は用語集にあります。

全てのアップル開発資料はアップル ディベロッパー コネクション(ADC)ウェブサイトから利用できます。

http://developer.apple.com

このページの表題の「リファレンスライブラリ」の下の書類をクリックすることで、メインドキュメントページへ行けます。そこからさまざまな分類のドキュメントページへ行くことができ、その分類に当てはまる書類の一覧表を見ることができます。

本書において、アップルの書類へこのように相互参照しています。

Carbon User Experience DocumentationのHandling Carbon Windows and Controlsを参照

メインドキュメントページからこの書類へ移動するには、Carbonをクリックし、次にCarbonドキュメンテーションページのUser Experienceをクリックします。するとあなたはCarbonにおけるユーザ体験に関連した情報を持つ、すべての書類が一覧表になったCarbon User Experience Documentationページにたどり着きます。

あなたは全ての書類を題名か改定日で並び替えることが出来ます。全ての書類はHTMLで利用でき、多くはPDFでも利用できます。

こちらもご覧ください

Mac OS Xで利用可能な技術の概要は、Mac OS X Technology Overviewで得ることができます。

http://developer.apple.com/documentationにある、アップルディベロッパーコネクションドキュメンテーションウェブサイトには、本書で述べている多数の話題のためのAPIリファレンスや概念に関する書類へのリンクがあります。

http://developer.apple.com/ueにある、アップルディベロッパーコネクション ユーザ体験ウェブサイトには、Mac OS Xのためのユーザ体験デザインについて、定期的に更新される情報が収められています。

The Apple Publications Style Guideは、あなたの説明書と同様に、あなたのアプリケーションの至る所で文字列表示やダイアログにおいて使用される、正しい言語と専門用語を選択するために役に立つ情報を提供します。この手引書はアップルディベロッパーコネクション ドキュメンテーションウェブサイトで利用可能です。

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→第1部:アプリケーションデザインの基礎